猿ヶ京ホテルの本館山側のお部屋からは谷川連峰が良く見えます。主に見えるのは、左から「十二社の峰(じうにしゃのみね)」「小出俣山(こいずまたやま)」の巨大な山容です。十二社の峰が1398.6Mの高さで山全体が木で覆われているのに比べ、小出俣山は1749.1Mもあり、山肌のところどころにカール上の露出地帯が見うけられます。冬になると小出俣山が雪で真っ白なのに、十二社の峰はまだ黒々としていることがよくあります。そし、見た目には独立した二つの山のように見えますが、実は十二社の峰は奥でL字を逆さまにしたような形で小出山と繋がっております。小出俣山から右の阿能川岳に続く平らな尾根の奥に顔を出しているのが、左から「本谷頭(ほんだにのあたま)、川棚の頭(かわだなのあたま)、俎嵓(まないたぐら)」になります。俎嵓の右奥の方向に谷川岳がある訳なのですが、ここからは見えません。
深田久弥の『日本百名山』の30谷川岳の項に『現在の谷川岳は古来「耳二つ」と呼ばれていた。そしてさらに、その「耳二つ」の北峰オキノ耳を谷川富士、南峰トマノ耳を薬師岳と称していた。そして谷川岳という名は、今の谷川の奥にある俎嵓に付せられていたのだという。』とあります。俎嵓が谷川岳であれば、堂々と谷川岳を望む眺望と言えるところだったのですが、五万分の一の地図を作成した陸軍参謀本部の担当官の誤記が原因といわれています。
実際、谷川の本谷は俎嵓に向かって伸びており、本谷の麓の方には谷川温泉があります。この話は結構知られており、現在の谷川岳を薬師岳と呼ぶ登山界の重鎮もおりましたが、その後の上越線の開通による、谷川岳の登山ブームもあって、うやむやとなっております。
俎嵓が谷川岳のままだったとすれば、猿ヶ京ホテルは「谷川岳を望む宿」と言うことになっていたでしょう。写真は左から十二社の峰、小出俣山、本谷の頭、川棚の頭、俎嵓。
この日は駐車場に近い松手山ルートから直接平標山に登って行くコースを取りました。時間にして3時間弱で山頂に達しました。 赤や白のシャクナゲ(石楠花)の花が山の高度によっては見頃です。
標高2000メートル超の仙ノ倉山頂まで行って往復し、帰りは平標山ノ家経由、岩魚沢ルート(平元新道)で帰ることになりました。山ノ家までの木道の階段を降りる間、残雪の上を二回、越えて行きました。
山の家は水が豊富ですので、水筒にその冷たい水をたっぷり詰めて下山の時に喉を潤すといいでしょう。
山ノ家から駐車場まで急な坂道です。膝を痛めないように慎重に下りて行きます。やがて林道にでますので、ゆっくりと駐車場までのなだらか道を楽しみましょう。
平標山までの往復は個人差や休憩も考えて7時間~10時間は見たほうがいいでしょう。
装備は登山靴、ポール、ザックなど本格的な物でないときついと思います。(^^*)
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