秋の和歌 10/22
秋も深まり、猿ヶ京温泉の木々も色づいてまいりました。旅館の北側にそびえる谷川連峰の小出俣山も山頂部分の草紅葉は終わったような感じです。
若だんなの好きな秋の和歌をいくつか百人一首から選んでみました。
・月見れば千々に物こそ悲しけれ わが身ひとつの秋にはあらねど (1)
:今年も中秋の名月は空が曇っていて見ることが出来ませんでした。でも後の何日間かは猿ヶ京の夜は晴れ、煌々と輝く月を眺められました。空ばかり眺めていると、寂しい人と思われかねません。寂しがるのもまた風流の道かも知れません。
・村雨の露もまだひぬ槙の葉に 霧立ち昇る秋の夕暮れ (2)
:秋の長雨はうっとうしいものです。この歌には、雨、露、霧といかにも秋の山野に水蒸気が漂っている雰囲気をうたったものです。また槙の葉とは常緑広葉樹の槙の葉であり、紅葉することのない葉です。秋篠宮家の悠仁親王のおしるしの「高野槙」はこの一種のようです。
・山川に風のかけたるしがらみは 流れもあへぬ紅葉なりけり (3)
:川といえないほどの何筋かの沢が猿ヶ京の山野には縦横に走っています。そんな地衣小さい流れにも堅牢な砂防ダムが築かれており、公共工事はなやかなりし時代を彷彿とさせます。紅葉した葉はやがて落ち葉となり、沢を流れていきますが、途中で堰き止められて沢のところどころに小さなダムを作ってしまいます。その落ち葉が腐ってしまう前にもう雪が降ってしまうのが、猿ヶ京と言うところです。
*(1)大江千里、(2)寂連法師、(3)春道列樹の作です。
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