あかねさす・・・
猿ヶ京温泉に秋が訪れました。日1日と深まってまいります。秋の野を犬と散歩する時、万葉集に収められた額田王(ぬかだのおおきみ)と大海人皇子(おおあまのおうじ)の次の和歌が思い浮かびます。しばし古代近江朝廷の時代にタイムトラベルして見ましょう。
あかねさす紫野行き標野(しめの)行き
野守(のもり)は見ずや君が袖振る
額田王(ぬかだのおおきみ)
むらさきのにおえる妹を憎くあらば
人づまゆゑに 吾恋ひめやも
大海人皇子(おおあまのおうじ)
あかねさす、とは明け方の朱色が射してくることらしいです。(額田王が)紫野と言う御領地の野を夫である天智天皇をはじめ宮廷に仕える者達が行進して行くと、こともあろうに天皇の弟で、元カレの大海人皇子が(私に向かって)大きく手を振っています。(警護の者達が見ている前で。)
これに対する大海人皇子の歌は、紫の匂えるあなたをもし憎く思っていたならば、兄の妻なのに関わらず、恋しく思ってはいないだろう、と言う意味の様です。これは宮廷で狩りでも行われた後の懇親会の即興歌で相聞歌風に作られたと言われています。今で言えば飲み会で意気統合した二人がカラオケで思わせぶりな歌を唄い合うようなものだったのかもしれません。天智天皇も大海人皇子も当時の上流階級の常で沢山の妻妾を侍らせていたので、当人同志は余り深刻に作った歌ではないのかもしれません。それでもこの歌は万葉集の中の白眉として後世に伝わっています。
写真は県道相俣水上線沿いのすすきの野原です。
コメント