山猫
先週行われた民主党の代表選挙で小沢一郎氏が「変わらずに生き残るために変わらないとならない。"We must change to remain the same." イタリア統一戦争を描いた映画「山猫」で以前から好んで引用するせりふを引き合いに出し「私自身がまず変わる」と演説で訴えたそうです。
この「山猫」はイタリアの映画監督、ルキノ・ヴィスコンティーの大作でバート・ランカスターが時代の流れから取り残されていくイタリア貴族(公爵)の役を演じ、哀愁を感じさせるいい味を出していたものですが、十年くらい前にビデオを買ってたまに観るくらいでしたが、好きな映画だったので小沢代表も観ていたとは驚きました。
物語の内容は貞淑に育ったが社交が苦手な自分の娘を振り、明るく情熱的な成金の娘(クラウディア・カルディナーレ)と婚約した甥(アランドロン)は、次々に取り入る相手を代えてイタリア議会にも立候補の腹を固めるが、自分は議会に出て欲しいと言う使者の申し出を断り、貴族の誇りを持ちつつ「変らない」自分の姿に一人ひそかに涙する公爵(バート・ランカスター)の姿を描いています。音楽は「ゴッドファーザー」「ロミオとジュリエット」のニーノ・ロータ。貴族の館で行われる舞踏会のシーンが本物の貴族階級の人たちを出演させたと話題になりました。
私はこの映画の主題はむしろ「変ることを拒否した」誇り高い男の姿なのでは、と思います。
本文中の小沢代表の言葉を確認するためにビデオを見返したところ、この言葉は甥のタンクレデイが主人公の公爵に言った言葉でした。甥はイタリア統一戦争でガリバルディーにう加担するために一緒に暮らしていた公爵の家を出るときにこの言葉を残しました。それから甥はガリバルディーを裏切り、公爵の娘を振り、美しくて情熱的な成金の娘(クラウディア・カルディナーレ)と婚約し、イタリア政界をのし上がっていきます。
もうひとつ、公爵とクラウディアがワルツを踊るシーンは美しくて、まさしく息を飲みます。音楽はニーノ・ロータです。公爵役のバート・ランカスターはウエストが締まり、ダンディーな老公爵を良く演じていました。
投稿: 若だんな | 2006-04-25 21:32